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Author:michianri
せつない 想い…
つたない ことばたち…
やりきれない 心…

『詩片日記…薔薇園…片想い』

第一章『詩片日記』
surrealiste
 hypochondrie
    ~prologue
       灰川道緒

第二章『薔薇園』
     
       鵜沓 綾

第三章『片想い』

       野川美千夫  

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せつない ラヴレター つたない ことば やりきれない 日々… 


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 わたしは、とてつもない音に目覚めた。クラクションが鳴り、人々の叫び声がして、すぐ近くで爆音が響いた。そのあともずっと高い警報音鳴り続けた。
 わたしの家は破壊された。わたしの、可愛いお家が!
 わたしはアトリエのとなりの部屋で寝ていた。ドアがゆるやかに開いて、そこから見える、あの彼女との楽しい一日を過ごす予定だった部屋が、ぺしゃんこになっていた。わたしは呆然とパジャマのまま廊下へ出て、その光景を眺めた。空は高く、すじ雲が綺麗だった。家の真ん中から、青い空を眺めることはそうめったにあることではなかったのだが、異様に黒い鉄の柱が、わたしの眼の前を横切り、裏庭の方へ伸びていた。なにが起きたのか初めはわからなかったし、まだ夢の途中のような気もしたが、ライがどこかで鳴く声を聞いて、わたしは我に返り、その鳴き声の方へ耳を向けた。どうも杭打ち機の下の方から聞こえた。作業員たちがどやどやとやってきて、口々に、大丈夫ですか、お怪我はありませんかと、土足でわたしのお家へ入ってきた。入ったというよりも、壊れた壁を乗り越えて侵入してきた。
 わたしは、大丈夫と言って、猫を捜してくださいと小さな声で訴えた。みんなは鳴き声のする床下の方にもぐりこんでいったが、しばらくしてあの男が、以前挨拶に来た男がライを胸に抱いて出てきた。
「よかった!あなたも猫も無事で!」そんな問題ではないと思ったが、ライが無事だったので、それを受け取りながら彼に礼を言って、少し微笑んだ。
 彼女との楽しい一日は、消えてしまった。わたしのこの部屋とともに。
 わたしは何をした?こんな罰を受けなきゃならない、何か罪でも犯した?…心あたりがないわけではなかった。これまで二回あった事故の死者に対してあまりにも冷淡だったから。そうだ、わたしの心は、彼らに対して冷たくなっていた。あの美しい森を破壊した罰は必ずあるだろうと考えたし、またそれを心の奥で望んでもいたんだ…ああ、自分も同じ人ではないか、神ではない人間なのだ、人に罰を願うなんて、とんでもないことだったのだ…その罰があたったのか、だとすると、ごめんなさいと、素直に、人々に、神に懺悔しなければならなかった。
 彼と、そしてその上司と思われる男がわたしの所へやってきて、平身低頭謝った。あまりにもその謝罪が大袈裟すぎると、怒りも、哀しみに変わって、心はさめざめとするものだ。とりあえず、もとのようにしてもらえさえすれば、わたしはよかったのだが、彼女のことを考えると、眩暈がした。吐き気もした。萎えていた怒りがまたむくむくと湧き上がり、わたしは深い息を、眼を固く閉じた。
 家を修理するまでは、どこかアパートを用意いたしますからだって!修理?これは修理か?家の半分を破壊しておいて、修理します?それは無理だった。つまり建て直しをしなければならなかった。みんなそれを知っていて、いかにも最小被害ですんだかのように言うのは、人間の性癖だろうか。
 でも、わたしは許した。自分の罪も含めて…誰にも言えない罪も含めて、彼らの罪を許してやった。

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