FC2ブログ

プロフィール

michianri

Author:michianri
せつない 想い…
つたない ことばたち…
やりきれない 心…

『詩片日記…薔薇園…片想い』

第一章『詩片日記』
surrealiste
 hypochondrie
    ~prologue
       灰川道緒

第二章『薔薇園』
     
       鵜沓 綾

第三章『片想い』

       野川美千夫  

カテゴリ

小説ブログ 長編小説へ
            人気ブログランキングへ              

リンク

このブログをリンクに追加する

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

RSSリンクの表示

最新トラックバック

最新記事

最新コメント



(c) 片想い…
design by Echizen
photo by mizutama

せつない ラヴレター つたない ことば やりきれない 日々… 


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 「ライ」はけっして嘘をついているのではないが、その存在自体が、事実ではない猫のようだった。わたしがこの猫と出逢ってしばらくして、お屋敷の森の破壊が始まったのだ。「ライ」はその意味では、最後に残ったお屋敷の住人だった。どのくらいあの薮のなかで暮らしていたかは定かではなかったが、少なくとも、わたしが見つけるまでのあいだは、あのお屋敷の住人だった。それに今では、草一本もない空き地になってしまったのだから、たとえ数時間の滞在だったとしても、もとお屋敷の住人であったと、わたしは考えたかったのだ。この「ライ」を護ってやらねばという気持ちが、わたしのなかに生まれたとしても不思議ではないでしょ?…わたしはライを大切にした。
 猫との相性もあるかもしれないが、このライといると、心がおだやかになった。仲の良い小さな姉と弟のように、泣いているときも、叫んでいるときも、笑っているときも、その手を引いて、母のもとへ走っていくふたりのように、わたしの心を淋しさから救ってくれる存在だった。ライといると、わたしが弟のようで、ライは姉のようにわたしのそばで、わたしを見守り、深い眼を見せるときは、わたしになにかを注いでいる表情をした。そしてブルーの色合いをしだいに明るくして、グレイになり、眼を閉じて、前脚に頭を載せて、再び、眠りについた。
 わたしはライにあえてことばをかけることはしなかったけれど、ライもわたしになにかを訴えることはしなかった。もちろん甘えることもしなかったのだ。ただときおり、わたしの腕のなかで、頭を胸にこすりつけることはあったけれど、それは甘えているというよりも、わたしに心配しなくていいよと、言っているようだった。

comment

ブログ管理人のみ

trackback

trackback_url

http://tensey.blog12.fc2.com/tb.php/269-12ea19c0
| HOME |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。