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michianri

Author:michianri
せつない 想い…
つたない ことばたち…
やりきれない 心…

『詩片日記…薔薇園…片想い』

第一章『詩片日記』
surrealiste
 hypochondrie
    ~prologue
       灰川道緒

第二章『薔薇園』
     
       鵜沓 綾

第三章『片想い』

       野川美千夫  

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(c) 片想い…
design by Echizen
photo by mizutama

せつない ラヴレター つたない ことば やりきれない 日々… 


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 秋も過ぎ、小雪の舞う寒い日、わたしはこの「墓地」に立った。お屋敷の焼け残った柱が黒く、過去の空白を埋めようと天を指していた。わたしがなぜここを「墓地」と呼んでいるのかというと、薔薇の木のあいだにいくつかの墓標が立っていたからだった。墓標かどうかはわたしにはわからなかったが、そのように見えた。「いくつか」というのは、正確には四つだった。二つは大きく、あとの二つは小さな、ほんとうに小さな可愛い石が並んで建てられていた…わたしは母に詳しく聞く必要性を感じた。母は自分の部屋でベッドに座り、古ぼけたノートを見ていた。わたしを見ると、やさしくほほえんだ。

 「お母さん、あの薔薇園にあるお墓…お墓でしょ?あれは誰のもの?」わたしのとつぜんの質問に、母は少したじろいで、ノートを手から落とし、わたしを見つめた。「ねえ、話してよ、わたしに…ぜんぶ!」わたしは母に詰め寄った。なぜこんなことを母に対してするのかわたしにも理解できなかった。何か切迫した状況を、自ら作り出しているかのように思えた。
「…このノートは、あなたのお父様のものなの…」わたしが拾いあげたノートの上に手を置いて母は言った。
「これにすべてが書いてある…あなたの知りたいすべてが…」わたしはノートを開いて見た。なかに書かれてあるものは文字には見えなかった。紙の繊維をただなぞったように見えた。見つめていると、しだいに何か風景のようなものが浮かんできた。わたしはあわてて眼をまたたいた。ノートのなかから映像が浮かび上がるなんて…ノートを撫でてみたけれど、ただの紙と、ただの白い色と、模様のような文字があるだけだった。見まいとしても眼がそこに惹きつけられ、見てしまう…またわたしはそれを見つめた…ああ、浮かんでくる…木々が風に揺れて不安げだった。銀色の波が次々と渡っていき、風の方向を示した…ああ、あの木だ、あの冬の日に香る花、その花が花の形のまま、雨のように降りそそいで、ノートから母の手のひら、母の手のひらから床へ落ちていった…木の枝にぶらさがるふたつの天使!白いそのふたつは、美しいドレープを長く垂らし、ゆっくりと回転していた…ああ、あのふたりだ!あの部屋で見たふたり、腕を赤い糸で縫い合わせ、首から上にロープを伸ばしていた、ふたり…この木はオガタマノキだと母は言っていた、その木にぶらさがる父と伯母…お母さん、このふたりのお墓なの?…わたしは心でつぶやいた…そう、あなたのお父様、道緒さんと、お姉さまの麗紗さん…母が答えた…ふたりは双子なの?…そう、双子なの…そしてわたしは、おふたりの兄妹だった…


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