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michianri

Author:michianri
せつない 想い…
つたない ことばたち…
やりきれない 心…

『詩片日記…薔薇園…片想い』

第一章『詩片日記』
surrealiste
 hypochondrie
    ~prologue
       灰川道緒

第二章『薔薇園』
     
       鵜沓 綾

第三章『片想い』

       野川美千夫  

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(c) 片想い…
design by Echizen
photo by mizutama

せつない ラヴレター つたない ことば やりきれない 日々… 


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 わたしの部屋へ戻ると、あやの口を開けて、なかをのぞいた…よかった、舌は無事だった。ちゃんと残っていた。無傷だった。でも上唇が縦に裂けていた。可哀相に。トカゲの背びれが口から飛び出るときに引っかかったのだ。血が垂れていた。わたしはあやの顔の血を拭いてやり、唇を消毒して絆創膏を貼ってやった。髪の毛!髪はわたしが綺麗にそろえて切ってやった。ショートもあやは似合った。可愛いと思った。ただ、顔のゆがみは戻らなかった。ふたりしてベッドで抱きあって眠った。あやの身体は小さく震えていた。いつまでも震えていた…

 目覚めたとき、朝はもう遠く過ぎていた。母がドアからのぞいた。いくどものぞいたに違いない。母はわたしたちに声をかけた。
「わたしの可愛い双子ちゃん…起きて」小さい声でそういうと、またドアを閉めてキッチンへ戻った。
 わたしは起きて、マスクをさがした。そうだ、このあやの顔では、母の前に出られない。マスクをつけさせよう…大きな不織布のマスクが出てきた。あやを起こしてその耳にマスクをかけた。眼だけが出て、その美しさが際立った。あやはしゃべれなかった。わたしの言葉にうなずくだけだった。ああ、とりかえしのつかないことをしてしまった。わたしたちは、いや、わたしは馬鹿だった。あの馬鹿猿たちよりももっと馬鹿だった。自分で掘った穴に落ちたようなものだった。あやを巻き込んでしまった。母に知れたら?あやの両親に知れたら?わたしは頭を抱えた。頭を抱えて、しゃがみ込んだ…あやがわたしの肩を叩いた。そして親指でドアの方を指差した。母のところへ行こうというのだ。わたしは仕方なくあやの後に続いた。
 キッチンにも、ダイニングにも母の姿はなかった。朝食はそろえて置いてあった。もう自分の部屋へ行ったのだ。わたしは胸をなでおろした。あやとふたりで朝食にがっついた。男か、けだもののように喰った。お腹がすいていたのだ。あやは片耳にマスクをかけたまま、トーストに喰らいついていた。その食べかたったら…可笑しかった。ふたりして笑った。ふたりとも声を立てずに笑った。大声で、沈黙のまま、笑った。

 母には、あやがちょっと風邪気味で、喉をやられたと言っておいた。母は、素直に信じて…でも髪は?そう言って、あやを自分の身体に引き寄せて、その短い髪の毛を撫でた。
「あたしが切ったの!…あやが暑苦しいって…」
 母はほほえんで…よく似合うわ、と言ってくれた。ほんとうにやさしい!わたしのお母さん!あやのお母さん!わたしもあやとともに母に抱きついて…泪が出た…


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