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michianri

Author:michianri
せつない 想い…
つたない ことばたち…
やりきれない 心…

『詩片日記…薔薇園…片想い』

第一章『詩片日記』
surrealiste
 hypochondrie
    ~prologue
       灰川道緒

第二章『薔薇園』
     
       鵜沓 綾

第三章『片想い』

       野川美千夫  

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せつない ラヴレター つたない ことば やりきれない 日々… 


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 その後、女生徒たちは現れなかった。とうとう夏休みになり、あやはわが家に大きな荷物を運び込み、夏休み中ここにいると宣言した。母は少し困ったような顔で、あやを抱きしめると、わたしも引き寄せて、ふたりを強く抱いた。三人とも同じ身長だったので、ひたいがくっついた。くっつけたまま至近距離で、眼を左右にやって、お互いの目玉を見た。そして三人で笑った。わたしたちは三人姉妹のようだと、わたしは思った。
 わたしとあやは着々と計画を練った。お屋敷の高い木に登り、ロープを渡して、布を詰めた籠をぶらさげた。「墓地」の通路には落とし穴を掘り、木の枝や草で蔽った。そして夜を待った。やつらが来ると信じて。
 この夏は最高だった。昼間はあやとふたりで「墓地」の四阿で、本を読んだり、詩を書いたりして過ごし、夜は、母が眠ったあと、お屋敷にもぐり込み、あいつらの登場を待った。
 お屋敷は蒸し暑い夏の夜でも涼しく、ひんやりとした。いちばん大きな部屋、わたしが初めてあやと遭遇した部屋、あやにはそのことはなにも話さなかったが、わたしの幼い記憶を呼び起こした、あの部屋にふたりで座って窓の外をうかがっていた。窓の近くにある塔が、カーテンを少し開くと、月明かりにその姿を鮮明に浮き立たせた。いちばん上には玉ねぎ形の小さい石が乗り、四角錘の石が続き、丸くて大きな石もその下にあった。
「五輪塔よ」あやが言った。
「え、五輪塔?」
「そう、死んだ人を供養するの」あやはほんとうに物知りだった。ほとんどわたしの質問に答えてくれた。
 …なにか物音がした。鉄の門扉を開ける音だ。やつらがついにやって来たのだ。カーテンの隙間からふたりでのぞいて見た。数人の女生徒がひとりずつ入ってくるのが見えた。手には棒を持って、慎重に一歩ずつ歩いていた。「墓地」の方へ入って行った。すぐに「ギャッ!」という声が聞こえた。落とし穴に落ちたんだ。馬鹿なやつらめ。わたしたちは部屋の蝋燭に火をつけて、玄関からそっと出て、「墓地」の周りをふわふわと歩きはじめた。
「キャー!」それを見て女どもは、われ先に散りじりに逃げて行った。
 わたしたちはハイタッチをして、抱き合った。まるで幽霊が抱擁を楽しむように…
「もう来ないかな…」あやに聞いてみた。
「あいつら、数増やして来るよ、きっと」あやは確信があるように言った。
「ふふ、そしたらもっと派手にしてやるよ!」わたしは嬉しかった。妹がいて、妹が現れて、ほんとうの妹が存在して、わたしのそばにいる。なんてすばらしいことなんだと思った。わたしは妹のためなら、何でもできると感じた。どちらが先に産まれたのかは知らないけれど、「姉」「妹」と言われるだけでその立場がそのようになっていくのは不思議だった。「姉」という言葉のなかに、「母性」の二文字を孕んでいるような、そんな気持ちさえした。わたしはあやを心からいとおしいと思った。どんな時も、この腕で包んでやりたいと…あたしはあやをぎゅっと抱きしめた…可愛いあや!…「りょう、痛いよ!」あやはそう言って、わたしの腕をつかんで両側に広げ、わたしにくちづけた…朧月がわたしたちを照らして、海のそこに揺らめく幻の動物のように見せた…

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 あれ以来、女生徒たちは現れなかった。とうとう夏休みになり、あやはわが家に大きな荷物を運び込み、夏休み中ここにいると宣言した。母は少し困ったような顔で、あやを抱きしめる...
- 05.24.2012 21:50

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