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michianri

Author:michianri
せつない 想い…
つたない ことばたち…
やりきれない 心…

『詩片日記…薔薇園…片想い』

第一章『詩片日記』
surrealiste
 hypochondrie
    ~prologue
       灰川道緒

第二章『薔薇園』
     
       鵜沓 綾

第三章『片想い』

       野川美千夫  

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(c) 片想い…
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photo by mizutama

せつない ラヴレター つたない ことば やりきれない 日々… 


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 わたしは学校をやめた。母は悲しげな顔をしたけれど、教頭や校長に会って、その人間性を見て、わたしの行動を理解してくれた。あやとは平日逢えなくなったが、土日にはあやがわたしたちのお家へかならず、泊まりに来てくれた。
 あやの話は面白かった。食事のときにわたしたちに話す学校での出来事は、真に迫っていて、わたしたちを喜ばせた。とくに母は、首を少しかしげて、いとおしいわが子ふたりを同時に眺められる喜びを、かみしめているようだった。
 あやとお風呂にもいっしょに入った。あやの身体は成熟していて、美しかった。ただ背中にミミズがもぐり込んだような痕が三本あって、赤くはれ上がり、白い肌をより白く見せていた。わたしはなにも聞かなかった。あやもなにも言わなかった。ふたりでバスタブにつかり、何時間も話した。手が白くふやけて、あやの指輪が指に食い込んでいた。
「その指輪…どこかで見たことある、あたし」
「そう?…どこにでもあるものよ」あやはそう言うと、わたしの胸をさわった。わたしもあやの胸をつかんで揺らした。あやもわたしの胸を両手でつかみ、くすぐった。お湯のかけあいになり、大声で笑った。
「もうあがったら…」母が外から声をかけた。
 わたしのベッドにふたりで眠った。なんて安らかであたたかくて、満ち足りているのだろうかと、わたしは感じた。わたしの身体は、いままでは半分しかなく、その片方をずっと捜していて、ようやく見つけて、くっつけたような感覚だった。あやもそう感じていた。ふたりでいつまでも向かいあったまま、くすくす笑ってはキスをして、そして、眠った。

 遠くで女の叫び声が聞こえた。まだ夜中だった。わたしたちは眼を開けて、天井を見た。あれは「墓地」の方からだ…窓から裸足のままふたりして飛び下り、母の部屋の下を通り過ぎて、お屋敷の門のところへ行った。「墓地」で光が右往左往していた。誰かこっちへ駆けて来た。門の陰に隠れると、見たことのある女生徒が鉄の扉にぶちあたり、隙間から逃げるように駆け出て行った。またもうひとり、もうひとりと…たぶん亡霊でも見たのだろう。幽霊屋敷に肝試しに来たのか…私とあやは顔を見合わせて、うなずいた。
 また別のやつらが来るに違いなかった。以前通学の途中、電車内で「灰川」という言葉をよく耳にしていたから、生徒のあいだでは、この有名な幽霊屋敷を放っておくはずはなかった。
 時々お屋敷に人の気配を感じていたのは、やつらのせいだったのだ。私とあやは計画を練った。夏休みも近づいて、開放的になっている馬鹿猿どもを、脅してやるのだ。
 まず、母の鍵を使って、いちばん手前の部屋に蝋燭を立て、夜には火をともす。そして、わたしとあやが母の白いドレスを着て、「墓地」やお屋敷の木々のあいだを歩くのだ。わたしたちはわくわくした。
 夜になるのが楽しみになった。あやは毎日のようにわが家へ泊まりに来た。両親が心配するのではと、母があやに聞いたが、あやは平気な顔をして、了解済みだからと母を安心させた。母もあやが家にいることは嬉しかったはずだ。あやは明るくて、何事に対してもはっきりといい悪いを言うし、わたしたちに遠慮がまるでなかったので、わたしたちもあやを気遣う必要がなかった。


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