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michianri

Author:michianri
せつない 想い…
つたない ことばたち…
やりきれない 心…

『詩片日記…薔薇園…片想い』

第一章『詩片日記』
surrealiste
 hypochondrie
    ~prologue
       灰川道緒

第二章『薔薇園』
     
       鵜沓 綾

第三章『片想い』

       野川美千夫  

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(c) 片想い…
design by Echizen
photo by mizutama

せつない ラヴレター つたない ことば やりきれない 日々… 


 あやは、両親に許可をもらい、時々わたしたちのところへ泊まりに来た。わたしは、あやがいると、心が弾んだ。なんと言うのか、心が二倍になったのだ。よろこびも、怒りも、悲しみもすべてが二倍になった。
 通学も楽しかった。ふたりの世界で、たくさんのおしゃべりをした。わたしたちは、離れて育ったのに、持っている本、今までに読んだ本、好きな画家や音楽家、そのすべてが一致した。学校の終るのが待ち遠しかった。退屈で意味のない授業が延々と続くのを耐えるのは、容易ではなかった。早くあやに逢いたかった。逢ってあの白くて長い指をわたしの指にからませたかった…あや!時々授業中に独り言をした。となりの生徒がそれを聞いて、変な眼で睨んだ。もうわたしには、あやと逢うためだけの通学でしかなかった。
 わたしの我慢もとうとう限界に達した。型どおりの先生たちの授業は受けるに値しなかった。
「こんなもの、箸にも棒にもかからないって言うんだ!」わたしが大声で叫ぶと、先生のチョークがわたしめがけて飛んできた。ほかの生徒たちは、大いにはやし立てて、わたしの味方をした。このときばかりは、先生対生徒の戦争になった。箒を持ってくるもの、バケツを鳴らすもの、男子生徒は先生に靴を投げつけた。女生徒たちは手を叩いて喜んだ。くだらない授業をぶち壊す快感なのだ。幾日も幾日にも亘って蓄積したみんなの鬱憤が噴き出したのだ。
 わたしはそっと教室を抜け出して、あやを心で呼んだ。あやが答えた。空から赤い葉が舞い降りてくるんだ、いつも。わたしは駅のホームに急いだ。あやはもう来ていて、わたしを待っていた。
「りょう!」
「あや!はやかったね」
 わたしたちは電車に飛び乗り、発車を待った。ベルが鳴った。ドアが閉まった。ドアの向こうに教頭の顔が見えた。電車のガラス窓をバンバン叩いている。わたしを追ってきたのだ。馬鹿なやつめ!ハハハ…ふたりして笑ってやった。


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 あやは、両親に許可をもらい、時々わたしたちのところへ泊まりに来た。わたしは、あやがいると、心が弾んだ。なんと言うのか、心が二倍になったのだ。よろこびも、怒りも、悲しみ...
- 05.19.2012 04:07

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