FC2ブログ

プロフィール

michianri

Author:michianri
せつない 想い…
つたない ことばたち…
やりきれない 心…

『詩片日記…薔薇園…片想い』

第一章『詩片日記』
surrealiste
 hypochondrie
    ~prologue
       灰川道緒

第二章『薔薇園』
     
       鵜沓 綾

第三章『片想い』

       野川美千夫  

カテゴリ

小説ブログ 長編小説へ
            人気ブログランキングへ              

リンク

このブログをリンクに追加する

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

RSSリンクの表示

最新トラックバック

最新記事

最新コメント



(c) 片想い…
design by Echizen
photo by mizutama

せつない ラヴレター つたない ことば やりきれない 日々… 


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 あくる朝、警察が来た。わたしが、となりのお屋敷の変な物音で目が覚めたと、電話したのだ。はじめは二人だけだったが、そのうち、四人、十人、二十人と増えていった。報道も来た。カメラを抱えた人や、マイクを持った人で、お屋敷の前はしだいに騒がしくなっていった。
 以前から、幽霊屋敷と呼ばれていたところへ、校長が住むようになって、町では話題になっていたのだ。わたしはまったく知らなかったが、この灰川家とその薔薇園は、かつては町の文化財的な場所だったのだ。その後、数家族が住もうとしたが、不慮の事故や病気で、次々と家族の誰かが死んでいき、今では、灰川家の亡霊が出るといううわさまで囁かれていたのだ。そして、この「事件」の発生で、町の人々の興味が再燃し、マスコミや野次馬で、門が壊れんばかりにお屋敷前が沸きかえっていった。
 わたしたち親子も、もとお屋敷の住人だったとして、マスコミや町の人々の興味の対象になったが、わたしたち、わたしと母はいっさい外に出ることはなかった。いくら呼び鈴を押されても…あまりにもうるさいのでわたしが線を切ってやった。電話線も抜いた。カーテンも引いて、完全に外界からこの家を遮断した。
 そのうち、窓ガラスに向けて石が投げられた。小石ならまだしも、人の頭ほどもある石が、窓を破壊した。そのつど警察がその人間を逮捕したが、何の効果もなかった。外では怒号が響いた…出て来い!お前たちに用があるんだ!知らんぷりか!…ヘリが家の屋根をすれすれに飛んでいた。いくども、いくども…わたしと母は、いちばん西側の部屋で、ふたりしてベッドで抱きあっていた。クッションを頭から被っても、外の音は、耳のすぐそばで爆発した。わたしたちは泣いた。泪が出なくなるまで…わたしたち親子がなにをしたと言うのか…わたしたちはあなたたちとどういう関係があるというのだ…わたしは腹が煮えくり返った…もう我慢ならない、わたしはクッションを跳ね飛ばし、起き上がった。母がわたしを止めた。母がわたしを止めてくれた。わたしの顔は鬼のようだったと思う。母がわたしの顔を両手で、胸に包んでくれなかったら、目玉は飛び出し、舌を噛み砕いて、すべての人間、すべての者を、抹殺しかねなかったのだ…母の泪が、わたしの唇に落ちてきて…わたしは吾に返った。冷たい泪は、少し、苦かった…


comment

ブログ管理人のみ

trackback

trackback_url

http://tensey.blog12.fc2.com/tb.php/239-464d5fa5
| HOME |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。