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michianri

Author:michianri
せつない 想い…
つたない ことばたち…
やりきれない 心…

『詩片日記…薔薇園…片想い』

第一章『詩片日記』
surrealiste
 hypochondrie
    ~prologue
       灰川道緒

第二章『薔薇園』
     
       鵜沓 綾

第三章『片想い』

       野川美千夫  

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せつない ラヴレター つたない ことば やりきれない 日々… 


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 次の日の朝、校長がやってきた。玄関で優先生と何か話しているのが聞こえた。母が出迎えた。校長が大声で笑い、母に礼を言っていた…下品なやつだ。わたしはクッションで頭を押さえ、何も聞こえないようにした。でも、しだいにあいつらの声が近づいてきた。そしてわたしの部屋をノックした。
「りょうさん、校長がちょっとお話しがあるって…」優先生がドアの向こうで言った。
「……」わたしは聞こえないふりをした。ドアが開いて誰かがなかを覗いている…ドアは閉まり、みんな去って行った…ああ、くそ!とんでもないやつらだ、人の部屋を覗くなんて…お母さん、止めてよ!母はいなかったの?またどこかへ行ってしまったのか?わたしは不安になり、クッションを頭から叩き落した。
「きゃーーー!」わたしは叫んだ。出せるだけの声を絞って、叫んだ。
 わたしの横に校長と佐々木優子が立っていた…わたしは出来得るかぎりの力で、二人に爪を立てた、立てようとした。しかし、わたしの腕も爪も宙を切り、むなしくベッドに沈んでいった。
「りょうさん、また学校に来れるようになるといいですね」校長がわめいた。まるで、カケスが樹の枝で交尾しているような声だ!
 わたしは窓の方を向いていた。
「りょうさん、また学校に来れるように努力するといいですね」あの女もわめいた。おんなじカケスの仲間か!こいつも…お母さん!お母さん、こいつらを止めて!ここからほうり出して!お母さん…
 母はいなかった。朝食を二人に出すためにキッチンにいたのだ。わたしを放って…お母さん!お母さんのやつめ!わたしを捨てたのか?こいつらと同盟でも結んだのか!ああ、わたしはひとりだ、ひとりきりだった…大粒の泪が、自分の手を濡らした…

 わたしがふたたび自分を捨てるのに、そんなに時間はかからなかった。あいつらがダイニングでぺちゃくちゃおしゃべりしているあいだに、わたしはわたしの仕事を着々とこなしていった。最近母は、佐々木優子だけでなく、校長にまでへつらい、媚を売り、夕食を振舞っていた。それがわたしには我慢ならなかった。この家をめちゃくちゃにしてやりたかった…でもわたしにはできなかった。わたしにはいとしい「りょう」がいたから…

「道緒さん!」あの女がわたしを呼びに来た。わたしはみんなと同じ食卓に着いた。みんなと楽しくおしゃべりもした。三人と冗談を言ったりもした。はっきりとわかった。こいつらが母を捕り込んだことが。わたしの母は「れい」と言った。その名を呼ぶと母が答えた。
「なに?道緒ちゃん…」
「ああ、お母さん…ぼくのところへ戻ってきてください」
「なにを言ってるの、道緒さん」あの女が口を挟んだ。
 口を慎め、このカケスどもが!わたしは一喝して、ふたたび母に言った。
「お母さん、お父さんのことは忘れて、ぼくたちのところへ帰ってきてください!」
 母は下を向いたまま、なにも答えなかった。答えられないのか、答える必要がないと考えたのか…ただうつむいて笑みをうかべているだけだった。
「全部知っているんだぞ、れい!…おまえがわたしの父となにをしたか…全部見ていたんだぞ…姉さんとふたりで!」
 わたしの頭には鮮明な画像で「れい」が吊るされているのが見えた。そして、言ってはならないことを言ってしまったことも悟った。母は泣いていた。母は消えてしまいたいと思った。母は他人の前で自分の過去を晒されたことに、どれだけ恥じ入ったことか。可哀相なお母さん…ごめんなさい、お母さん…わたしはふたたび私自身を一喝した。ふざけるな道緒!おまえは何者だ!何の権理があって、わたしの母を誹謗するんだ?おまえは、おまえたちはただ見ていただけじゃないか、何もしなかったじゃないか、おまえたちは母が吊るされるのを楽しんでいたのだ、違うか?姉はどこだ?姉を呼べ!…わたしは道緒の首を押さえて絞め付けた。道緒は足をばたつかせて、わたしに言った。
「許してください…許してください…許して…」ゲッ、と声を出して道緒は気を失った。わたしは今回はまあ許してやろうと思った。なぜなら硬くなった道緒のペニスが、わたしの下腹にあたって、許しを請うたからだ。

 母たちは、静かにその様子を観察していたが、わたしが笑顔に戻ると、ほっとした顔色になって、食事を続けた。

 こんなに楽しい食事が長く続くはずもなかった。だって、みんなが食べているお皿の上には、ぐるぐるととぐろを巻いた道緒の腸が乗っていたからだ。

 わたしが綺麗に道緒の腹をナイフとフォークで切り開き、上手に腸を取り出して、各自のお皿の上に盛ったからだ。

 それでも三人は、黙々と食事を続けた。道緒の、食事を…

 ああ、こいつらの魂胆はわかった、わたしの道緒を消し去ろうとしているんだ!

 わたしの道緒!わたしの…道緒…

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