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michianri

Author:michianri
せつない 想い…
つたない ことばたち…
やりきれない 心…

『詩片日記…薔薇園…片想い』

第一章『詩片日記』
surrealiste
 hypochondrie
    ~prologue
       灰川道緒

第二章『薔薇園』
     
       鵜沓 綾

第三章『片想い』

       野川美千夫  

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せつない ラヴレター つたない ことば やりきれない 日々… 


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 気持ちのよい目覚めだった。なんだか、天から墜ちてきて、やわらかいクッションの上に跳ねて、しだいに沈み込んでいくような…
 罪を犯した人が、罪以上の罰を受けて陶酔するように、わたしは茫然の海に浸っていた。胸が重かった。母と優先生の腕が、わたしの胸にのっていた。わたしの腕は、二人の首に回されていて、まるで三人でどこかを飛んで来たようだった。二人が羽根になり、わたしの飛翔を援けてくれたように思えた…ああ、窓の外はかがやいている。木々の緑が雨を含んで、エメラルドの海となって氾濫していた…ああ、前にもこんなことが、こんな日があった…わたしは感じた。すべての自然界の蠢きを。どんなに小さな虫の羽音も、蝶の飛跡に舞う光の粒も、その軌跡を突き破って横切るスズメ蛾の眼の色も…葉が揺れて落とした、雫に映る無数の精霊を…感じた。
 母と優先生の腕のぬくもりが気持ちよくて、陽の光に包まれた繭のようだった。わたしの胸はかがやき、中心から光が漏れていた。見つめていると、白い形ある影が立ち昇っている。それはしだいに天井へ揺らめきながら流れ、左右にひろがった…窓からひとすじの陽が、わたしの胸を照らしていたのだ。庭の一枚の葉が光を反射していた。ときおり揺れて、わたしの胸と二人の手のあいだを光が移動している。その二人の手を見た。指が似ていた。そして同じ指輪をしていた。同じ人が左右から手を伸ばして、わたしの胸の上でクロスさせているようだった。指輪が光った。天井に投射して、ひろがった白い影に星を飾った…
 わたしは起き上がった。二人の腕が左右に垂れた。わたしは制服に着替え、お屋敷へ向かった。学校はお屋敷に移っていた。たぶんまた遅刻だろうと思った。お屋敷の墓地は、女生徒で溢れていた。髪の毛があちこちで揺れ、短いスカートが跳ね返っていた。わたしは毅然として、お屋敷へ入っていった。正面に校長がいた。その顔を見ると反吐が出そうだと思った。誰かの顔に似ていて、こいつも仲間だなと思った。変なゆがんだ笑みを浮かべて、ほかの先生たちと並んでわたしを出迎えた。わたしは無視をして、ずんずんと廊下を進んだ。わたしの部屋の前へ来た。いつものように把手を綺麗に拭きとり、回した…ああ、お姉さん、ここにいたのですか、捜したんですよ、お母様はどこ?まさかまたあいつのところへ?ねえ、お姉さん、なにか言ってくださいよ!…姉の首はすっぽりと抜け落ちて、わたしの揺すった力が姉の身体を前後に揺らし続けた。あきらめたわたしは父の部屋へ急いだ。把手の錆は綺麗に磨かれて、黒光りしていた。わたしはゆっくりと回して部屋へ入った。部屋のなかは女生徒でいっぱいで、優先生がなにか叫んでいる。整列しない女生徒の髪の毛をつかんでひきずっていた。わたしは、足を鳴らした。すると、いっせいにわたしの方を見て、静まりかえった…ああ、灰川理事長!校長がわたしのところへ駆け寄ってきた…この胸糞悪い男が…わたしは心のなかでそうつぶやきながら、壇上へ上がった。背後にはびっしりと本の並んだ棚が、わたしを潰そうと待ち構えていたが、わたしは、わたしの仕事があるので、かまわずもういちど足を踏み鳴らした。見事に、シャンデリアが落ちた。羽根が落ちるようだった。ひとつひとつのクリスタルが宙を舞い、あとへあとへ置いて行かれてしまうように、ゆっくりと回転しながら、落ちていった。複数の叫び声が響いた。女生徒が潰されたのだ。数人の脚が見えた。シャンデリアが制服を飾り、数本の脚がばたついていた…なんて可愛いんだ!わたしはそう思って、拍手した。みなも拍手した…なんて見事な潰れ方だ!みんなもそう思っているに違いない。わたしは次に、笑いがこみ上げてきた。どうしても我慢できなくなって、ついに大声で笑いはじめた。校長も笑った。優先生も?あれ?優先生は?ああ、見事な潰れ方のひとりは、優先生だったのだ。可哀相に、お腹が潰れて、肛門から腸が出てきているじゃないか、ああすばらしい…わたしは感激した。そして泪を流した。いい兆候だった…朝礼も終わり、みんなぞろぞろと教室へ帰っていった。シャンデリアを上手にカーヴして、両側によけながら…わたしは壁際のベッドへ行って、横になった…お母さん!わたしは心でつぶやいて、それから眠った…


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