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michianri

Author:michianri
せつない 想い…
つたない ことばたち…
やりきれない 心…

『詩片日記…薔薇園…片想い』

第一章『詩片日記』
surrealiste
 hypochondrie
    ~prologue
       灰川道緒

第二章『薔薇園』
     
       鵜沓 綾

第三章『片想い』

       野川美千夫  

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design by Echizen
photo by mizutama

せつない ラヴレター つたない ことば やりきれない 日々… 


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 初秋の陽も、しだいに早く翳るようになり、虫の声も透き通るように聞こえてくる、ある夜のこと、トイレに起きて、ふと、北の小窓を見たわたしは、木々のあいまから光が漏れてくるのを一瞬だったけれども、見たのだ。あのお屋敷の方向だった。だれも住んでいないお屋敷に、誰かいるのだろうか。誰かが侵入したのだ、きっと。母の寝室をのぞいた。母は、むこう向きになって、ぐっすりと眠っているようだった。わたしは服を着替えて、お屋敷に向かった。
 警察を呼ぶべきだろうか、いや、わたしの勘違いかもしれない。別の光を、お屋敷からと思っただけかもしれない。わたしはそっと門のいばらをくぐり、樹の陰に身をひそめて、お屋敷の方を見つめた。なにも光らなかった。鳴きやんだ虫たちが、ふたたび恐る恐る鳴きはじめた。わたしは少しがっかりして、あるいは、少し安心して、また門を出て、そしてベッドに戻った。
 なかなか寝付けなかった。また光るかもしれない。そう思うと頭も冴えて、眠れなくなってしまった。あの写真が眼のなかに映った。妹はどんな子だったのだろう。わたしとそっくりの妹…逢いたい、逢って抱きしめてあげたい…また、わたしは既視感に襲われた。同じ想いを何度もしているのだ。それほどまでに、同じ想いが巡ってくる、いくども、いくども…
 わたしは、ふたたび起き上がった。パジャマのまま外へ出た。門をくぐってまたあの大きな樹の陰に隠れた。お屋敷を見た。なにも変らない。夏の名残りの墓地は、寂しさが増していた。月が雲から出てきて、あたりを水の底のように照らし出した。脚が寒かった。パジャマのズボンが鉤裂きになって、片方の腿があらわになっていた。まえにも引っかいたところだった。わたしはそこを手で押さえて、お屋敷を見張った。月はふたたび隠れて、雲が青白い薔薇の花のように見えた。虫の音が淋しく、響いていた…


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