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michianri

Author:michianri
せつない 想い…
つたない ことばたち…
やりきれない 心…

『詩片日記…薔薇園…片想い』

第一章『詩片日記』
surrealiste
 hypochondrie
    ~prologue
       灰川道緒

第二章『薔薇園』
     
       鵜沓 綾

第三章『片想い』

       野川美千夫  

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(c) 片想い…
design by Echizen
photo by mizutama

せつない ラヴレター つたない ことば やりきれない 日々… 


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 わたしはついに、あのお屋敷に行く決心をした。この場所が、父のいた家、母と暮らした家であることは、わかっていたのだ。わたしの消された記憶の点滅がしだいに始まった。
 
 それは、六月のある日、墓地を進んでいたわたしの眼のまえに、薄ピンクの大きな薔薇の花が、わたしを見おろしていた。わたしはそっとその花を手のひらにのせた…ああ、この香り、そしてこの光、この薔薇の木…女の人が空に融けていくのを見たんだ。わたしは、想い出した。あの時の、不思議な体験を。そこには母もいた。わたしは母と手をつないでいた。父もいた…顔はみえないけれども…そうしてもうひとり、女の人がいた。それはきっと「麗紗」だろうか。わたしは、父の匂いを感じた。薔薇の花の首をこすると、特有の油の匂いがする、その匂いだった。父の膝にいつも抱かれて、あの四阿で、野薔薇の白い花房を眺めていた、ふたり…そして母も…そして、伯母も…
 あの四阿のベンチに座ると、落ち込んだわたしの精神も、安らいでいくわけが今、理解できた。
 取り戻した記憶は、人を悲しませることもあるけれど、人を救うことだってあるんだ。わたしは想い出した。このお屋敷で、この庭で、六歳まで過ごしたんだ。母と、父と、伯母と…六月の薔薇園と、八月の木々の緑と、秋の薔薇の葉の紅葉と、冬の棘薔薇の美しい姿を…想い出した。まるでしだいにたくさんの羽根が舞って、息苦しくなるように、記憶が舞い下りてきた。やさしい父の笑顔、あたたかい伯母の胸、眠るときの母の身体のぬくもり……母の声がした…


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