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michianri

Author:michianri
せつない 想い…
つたない ことばたち…
やりきれない 心…

『詩片日記…薔薇園…片想い』

第一章『詩片日記』
surrealiste
 hypochondrie
    ~prologue
       灰川道緒

第二章『薔薇園』
     
       鵜沓 綾

第三章『片想い』

       野川美千夫  

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design by Echizen
photo by mizutama

せつない ラヴレター つたない ことば やりきれない 日々… 


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「お母さん!…」返事がなかった。
「お母さん!」母の寝室へ行った。窓の下に母が倒れていた。床に赤いものが見えた。唇から血がとめどなく流れて、顔の下を赤黒く染めていた。
「お母さん!」わたしは母を抱き起こした。母はぐったりとしてわたしの腕のなかで何かをつぶやいた。「なぜ、どうして…」わたしは頭が暗闇に沈んでいくように思えた。手にしたままの手帳と本に、母の血が染み込んでいった。
 ああ、母は病気だったのだ、なぜ気づかなかったのか、わたしは自らを責めた。身体はしだいに細くなっていくように見えたけれど、いつもほほえんでいたし、いつもわたしを包んでくれていたのに、なにひとつわたしに苦痛を訴えたことなんてなかった…わたしは、わたしの世界だけでしか生きていなかったのか…母に「ごめんなさい」を百度も千度も言いたかった。わたしの泪が、母の唇に落ちて、母の血と混じり、溶けて流れていった。わたしは母と頬をあわせた。母のそれは冷たかった。わたしの手よりも冷たかった。母がわたしの一方の頬を撫でた。あたたかかった。母のいつものぬくもりだった。わたしも手を重ねて、母のぬくもりを確かめた。わたしの頬に母の頬は、血を介して同化していった。それはまるで、顔が結合したまま生れた双子のようだった。わたしたちの正面の鏡が、それを映していたのだ。母もそれを見ていた。そしてほほえんだ。わたしもほほえんだ。
 ああ、やさしい母…わたしのお母さん…

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