FC2ブログ

プロフィール

michianri

Author:michianri
せつない 想い…
つたない ことばたち…
やりきれない 心…

『詩片日記…薔薇園…片想い』

第一章『詩片日記』
surrealiste
 hypochondrie
    ~prologue
       灰川道緒

第二章『薔薇園』
     
       鵜沓 綾

第三章『片想い』

       野川美千夫  

カテゴリ

小説ブログ 長編小説へ
            人気ブログランキングへ              

リンク

このブログをリンクに追加する

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

RSSリンクの表示

最新トラックバック

最新記事

最新コメント



(c) 片想い…
design by Echizen
photo by mizutama

せつない ラヴレター つたない ことば やりきれない 日々… 


       あらたな計画2
 でも、あなたは、雨のなかでも濡れない呪文を知っていた。それは?…ちゃんとぼくの眼を見て答えて!…今日のように涼しい夜は、心をむきだしにしたぼくを、冷たくする。ドアのところから遠くあなたの姿を見つめていたぼくは、あなたの魔法が解けることを願って、ドアを閉めた。
                (夜11:30)
 ぼくは人々の分類する情熱的と言われる人間ではない。むしろ冷たい人間なのかもしれない。意地悪で、傲慢で、孤独で…心の隙間を吹く風を快楽としているような…そんなぼくが一見ロマーン風な言葉を吐くのは、自分の剥がれ落ちた仮面をとりつくろうため。それら感傷的な言葉にけっして惑ってはならない。ぼくの魔法にかかっているあなたは、自分の手のひらを見つめて、あの呪文を唱えなければ、ぼくの蜘蛛の巣からは逃れられない。その巣糸には、雨の雫が無数に連なって、あなたの泪に見えた(あなたは迂闊にもその言葉を忘れて、体液をすべて、ぼくに吸われてしまった)。ほら、もう十二時を回っていくではないか。ぐずぐずせずにあなたはぼくの身体の一部となれ。ぼくの善人づらの仮面がすべて剥落するまえに。
スポンサーサイト



       あらたな計画1
 ぼくがあなたになにかを期待することで、ぼく自身が追いつめられていく。自分を追いつめるために、あなたを強く想っているの?いや、それは苦しすぎる。それほどまでにぼくは自虐質ではない。あなたを強く想うということは、ぼくの雨の強さに匹敵する。ぼくの曲線に降る雨が遠心力を強めるほどにあなたを強く想う。ぼくの雨は、文字となって降ることも、泪となって降ることも。そして、呪縛の糸となって、あなたの心へ降りそそぐ。ぼくのなかのあなたの存在は、ぼくのなかのぼく自身の存在よりもはるかに巨大な雨雲を同居させていた。しずかに、遠雷が、規則正しくつづき、あなたの存在の位置を知らせた。ぼくが、眼を見開いて自身の心の破片をつかもうとしても、ただあなたのふっくらとした網模様の腿が爪に引っかかるだけだ。あなたの足指は、ぼくの口のなかへ突っ込まれていた。
 天から落ちてくるものが雨に似たものであっても、あなたは逃げてはいけない。ぼくのように口を開けて、そのさらさらとした糸を喉の奥へ流し込め。ぼくのするように、両手を頬にあてがって、にがい文字の鎖を呑み込め。ぼくが知ったように、あなたは言葉の最後で、あなた自身を知ることになるんだ。
 さて、ここまでに、たどりつくためのあなたとの会話はすべて、ぼくが雨の色に染めあげてしまった。というのも、もうぼくの存在すら雨でしかないからだ。あなたの心を雨で包むために、あらゆる雨に似た糸の特質を、ぼくは調べた。
 
あなたの指にからむ ぼくのゴム紐は あなたの気持ちを しめつけることができずに 伸びて ぼくの指を さがしている
ぼくの 指に からむ あなたの 鰓状の執念は ぼくの 肢体 まるで動かない 肢体を まさぐりつづける

 
 あなたの姦計におちたぼくは 頭が融けはじめていた
 自らの罠にはまった 二本足の 蜘蛛のように…
      
…水を口からそそぎこんで 生気のまねごとをするぼくの肢体に あなたは たずねた
「このゴム棒は だれのものか?」… 
        
ぼくの尖茎は 曲がってしまって あなたのミズスマシの這いのぼってくるのが わからない
ぼくはただ あなたの窓によりかかって 奥の明かりの移動を 死んだふりして見ていたんだ
そして あなたが気づかないと 知っていたから つまり 鰓状のあなたの喘ぎを 喰ってやった…
延髄が ぴくぴくと鳴って 射精したら あなたはげらげら笑って 足を閉じた

     
ひらひらの貝の鰓が ぼくの舌なのか あなたのいらだちなのか 両手がふさがっているぼくには たしかめる術も ない…
    
    
お尻が見える位置に ぼくの鼻があるように 
指を伸ばすと あなたの開き窓が ぼくの 口のなかにあった

ぼくの右眼が 猛烈に痛い
…痛いという記憶が ただ かさかさと残っているのか…いや
あなたの舌が 眼の穴に 残っていた
  
美しい睫毛の 交叉している隙間から 漏れる 青い月のような光は ぼくを あなたの心のまえに 晒す


 
   
からからと 目玉のなかで 鈴が鳴る
あなたが 忘れていった 身体の撫で方を ぼくの蜥蜴の肌が記憶していて つらい…
とても つらい…
記憶がぼくを 弄んでいる
ぼくの穴に残された あなたの腕の太さに 露が 垂れるように 想いたかった…
 
   
ぼくの 朽ち方に あなたは 感動するだろうか…
   
二ヶ月間 降りつづいた雨も あなたのやさしい声となって 流れていった
そうして ぼくは 朽ちていった
あなたを 想いすぎて 想いすぎて…
 
    
水は ぼくの上部から下部へ流れる香りに似て 沁みついたあなたへの気持ちを溶かし タイルのうえを螺旋状に巻きながら あなたの薔薇の排水口に吸い込まれていく
奇妙な夜が ぼくを包んで かすかな音のなかで あなたが引き出した腸の匂いを 嗅いでみる
雨が 同じ軌跡をたどって あなたの肌を打つ
雨は あなたの髪のまを垂れて 螺旋状に巻きながら ぼくの眼窩に溜まっていく
雨は 水に似て あなたの唇がぼくの唇にくちづけている隙間に 滲んでいく
奇妙な音が 夜を包んで あなたの影を 雨のレースのなかに映している
あなたが口にした ぼくの腸は 雨の味がして その薔薇の口で 食べて…
静かに鳴る 舌の音が 雨の音に 似ている…

   
  
最悪の人間が見ているこの女は 肌に溶け込んでいる匂いに化けて 死体をまさぐる
この身体が感じとるものは この女の肌に溶けた死体の臭気と 爪の間に残された ローズオイルの石鹸の匂い
襞々のなかに嵌め込んだ ぼくの目玉を回転させながら 唇と舌で薔薇を作る 
眼は 常に左右し ぼくのアヌスに挿し入れた 白く美しい自らの腕の動きを 監視している
                        
  
最高の時をぼくは あなたに捧げたい
静かに眠るぼくの死を あなたの身体のなかへ 孕ませるために あなたが操作するぼくの眼と 生殖器官と化したあなたの眼を 重ねて…
あなたは何を考えるだろうか 白日の下で 美しい自らの眼を 撫でながら…
奥まっていく想いの流れに沿って あなたの器にもぐり込んでいく…
    
白い眸は ぼくを 勃起させる
近づけたぼくのくちびるに触れるそれは 冷たく 苦い
睫毛を左右に押さえていると あなたの見ているぼくの顔が眸に映って それがぼくの眸に映っていることを 考えると ぼくは 思わず 射精した 
       
あなたの美しい鰓に沿って カールした睫毛が泪を宿して ぼくのくちびるを待っている
ゆるやかに 足が開かれると 鰓が左右に割れて 乳白色のガラス玉が ぼくを 見た…
   

あなたの眼球の表面を ぼくの精液が 右に流れていく
あなたは 眼病の牛のように ぼくを 見た…
  
あなたの為すことが ぼくの想いとなって ぼく自身の性癖となるように 願う
   
死後のぼくが 四角であったとしても あなたの挙動をひとつずつ 見ていた
   
あまりにも 近づきすぎたために あなたの眼のなかに 棲息する 重い首の薔薇が ぼくのなかに流れ込んでくるみたいだ
その匂いに ぼくは ふたたび 弛緩する…
あなたは無関心に その巨大な花の首で ぼくを 窒息死させた 
   
ただ あなたの身体のなかに吸い込まれたぼくの先端が 螺旋状にあなたの心情を えぐりながら 喉に立てられた爪と同じ行為を 鏡に投影している
…割れている鏡は 顔を上下にずらしている まるで あなたの唇を真似ているように…
ぼくは何も考えたくはなかったけれども あなたの唾液が 葡萄の汁みたいに ぼくの口のなかで 泡立っていると 眩暈するように あなたを あなたを… 考える…
そして…
 
     
ぼくをたやすく 殺しはしないだろうか…ぼくはそうしてほしい
あなたに殺される ゆっくりと…そう想うと もう ぼくの指が震えている
不思議な形のネイルキャップが ぼくには見えるのだ ゆっくりと あなたの泪が ぼくの眼のなかに 滲んでいく
睫毛が 触れあっている
あなたの乳房が 胸を押さえて 息苦しい
ぼくの唇は 四枚になっている しかし あなたの爪が ぼくの喉にすこしずつ沈んでいくのを ぼくは見たい
そして 四枚の薔薇の唇で あなたに 苦痛を伝えたい でも あなたが あまりにもぼくに近づいているので まるで 鏡のうえにあなたは 寝ているようだ……

 
      
あなたの視線は まるで蜥蜴の尻尾のように 飛び出ている
ぼくはそれを 逃げないように 手のひらで飼うのだ…
あなたが忘れていくことを ぼくが知っているはずもない
あなたが何を忘れていくか ぼくは 知りたい…
あなたの 降りそそぐ視線の宝石は あなたが忘れていくぼくの肉片の数々を飾って あなたの乱れた 口もとに吸い込まれていく……

     
今日から 数日間 ぼくの計画を ここに書き入れる
けっして そのようにはならないことを 願って……

第一日目
あなたの足の第二指を 舌のうえにのせて あなたからエメラルドの視線が降ってくるのを 待つ……
| HOME |